12月の追憶

世の中が年の最後の月に入り、浮つき出す頃、
街がイルミネーションで彩られ、華やぎだす頃、
世間がクリスマスだと、浮き足立つ頃、
僕は君との想い出に囚われる。


一つは、
喧嘩をした後、二人で過ごしたクリスマス。
ダンヒルのライターを貰ったね。
手作りのケーキも貰ったね。
翌年は、僕が欲しかったマンガをくれたね。


今考えても、
キラキラまぶしくて、
幸せな、温かい想い出。




もう一つは、
僕にとって悲しい君の決断。


君を知っているから、
その時の自分の無力さに打ちひしがれ、
一人になるのがとても怖かった。


君がいない日々を送ることが、
こんなにも困難だと、離れて改めて知らされた。


呼吸が出来ないような感じ。


それからもう何年も過ぎ、
また12月のあの日が来る。


君はきっと、前に進んでいて、
もっと素敵な人にきっとなっているはず。


僕は、
僕の一部をあの日になくしたまま、
少し前に出て、
少し大人になった。


でも、
この時期は、
とってもとっても、
心のどこかがチクリとして、
上手く言えないけど、
ボタンを掛け違ったときのように、
違和感を感じるんだ。


君のいない僕の横に、
僕は未だに馴れないんだ。


後悔、
懺悔、
そんなのではない。
未練でもない。


ただ、
わからない。
それだけだ。